五胡十六国時代 前燕の落日㉝ 四代目慕容暐 ~前燕滅亡への道~ 前秦の前燕への侵攻:晋陽の陥落と、前燕軍の潞川到着

中国史

こんにちは。

前秦が前燕に侵攻し、并州への攻撃をはじめました。前燕は、壺関の町と、壺関がある上党郡をあっさりと王猛に落とされ、国都・鄴への侵攻が現実味を帯びてくると、国中がガクガクブルブルに震えだします。

前燕国内では、封孚と申胤が、前燕の滅亡も近いなーと、さくっと予報したりしています。

南の東晋国内では、桓温に反発して寿春を本拠地に東晋に反旗を翻していた、袁真、その死後袁真を継いだ袁瑾を、桓温が討伐に向かい寿春を包囲します。

袁瑾からの要請を受け援軍に向かった前燕軍も、本国が前秦からの攻撃により危機に陥ると、退却してしまいました。

そのような状況がある中、前秦軍の并州攻略戦は続きます。

ただ、別働隊として、晋陽を攻撃していた楊安は苦戦します。

そこで壺関攻略を終えたばかりの王猛が晋陽の攻撃に向かいます。

固い守りを誇る晋陽も怪物・王猛の前では風に舞う木の葉が如く、あっさりと陥落してしまいます。

 

赤枠を拡大した地図が下記

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晋陽

さて、前秦の楊安が攻撃していた晋陽の町ですが、現在では太原という山西省の省都である大きな都市です。

現在でもこのエリアの中心の町ですが、歴史的にも并州の中心でありました。

地図で見ても、東西を山に挟まれた狭い地形の位置に町があり、防御に優れていたことが見て取れます。

重要な街道が通る交通の要衝であり、北方の遊牧民を攻撃する時の前線基地としても重要な位置ある町でした。

歴史的にも、春秋時代、晋国内での貴族同士の大きな内輪もめの戦いである「晋陽の戦い」の舞台となった町でもあります。この「晋陽の戦い」の結果が、晋の趙・魏・韓への分裂につながりました。

また、この晋陽の町は、後の世の隋末に、唐を建国する李淵がこの街を拠点に長安に進出してその後天下を取りました。東は井陘口(娘子関)を超えて華北平原に進出でき、南へは洛陽や長安に出られるなど、革命の本拠としては絶好に位置にある町なのです。

※キングダムでも嫪毐が太原を本拠にして「嫪国」を建国して反乱してますね。


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王猛、壺関の守備を苟萇にまかせ晋陽に向かう

晋陽は、前秦の鎮南将軍・楊安が攻撃していたのですが、晋陽の町は駐屯する兵も多く、食料も豊富に蓄えており、なかなか陥落させることができませんでした。

そこで、壺関をいち早く陥落させた王猛が、9月に壺関の守備は屯騎校尉・苟萇にまかせ兵を率いて楊安の援軍に向かいます。

苟萇は前秦の名将の一人で、前燕滅亡後の前秦よる前涼攻撃で活躍する将軍です。

王猛の壺関から晋陽への進軍ルートは推定

晋陽攻防戦で王猛の奇策が炸裂

晋陽に着いた王猛は、晋陽の守備が固いことをみて、奇策を実行します。

地下道を掘り、そこから城内に進出する策を実行するのです。

虎牙将軍・張蚝に数百人の壮士を率いさせ地下道から城内に斬り込まさせ、内部から城門を開け前秦軍を入城させました。内部から城門を開けられてしまっては、晋陽の守りがいかに堅くても抵抗できません。あえなく晋陽は陥落し、守将の并州刺史で東海王・慕容荘は捕らわれてしまいました。

これにより晋陽もある太原郡エリアも前秦の制圧するところとなり、鄴のある華北平原への進行路も増えます。

上述の井陘口(娘子関)を通り、常山(現在の石家荘市)に出るルートも確保しました。

慕容評率いる前燕軍、潞川に布陣

さて、晋陽の町が陥落したころ、慕容評が率いる前燕軍30万がようやく壺関がある長治盆地にまで進出して来ます。

しかし、そこで晋陽の陥落の報がとどき、前秦軍の勢いを恐れた慕容評は潞川の線で軍をとどめて陣を敷き、それ以上前進しませんでした。

資治通鑑の胡三省注では、潞川は上党の潞県の北にあるということですので、地図の潞県の北の川の対岸、すなわち華北平原から太行山脈を超える太行八陘の一つ「滏口陘」を抜けてすぐのところに軍を置いたということでしょう。

晋陽を落とした王猛も10月には、晋陽の守備を将軍・毛当にまかせ、自らは兵を率い潞川に赴き、そこで前燕軍と相対します。

前秦軍と前燕軍の全面対決「潞川の戦い」の幕が上がります。

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【参考文献】
三崎良章『五胡十六国、中国史上の民族大移動』【新訂版】(東方書店、2012年10月)

川勝義雄『魏晋南北朝(講談社学術文庫)』(講談社、2003年5月)
『晋書』『資治通鑑』

 

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