五胡十六国時代 前燕の落日㉜ 四代目慕容暐 ~前燕滅亡への道~ 前秦の前燕への侵攻:封孚、申胤、戦況予報&東晋国内の動き

中国史

こんにちは。

前秦軍は、370年6月に侵攻を開始、前燕領の上党郡・壺関と太原郡・晋陽を攻撃します。

壺関は王猛指揮の軍の前にまたたく間に陥落し、上党郡も前秦に制圧されてしまいます。

前燕も太傅・慕容評みずから30万の兵を率いて并州へ援軍に向かいますが、いまだ到着していません。

前秦軍も壺関はすぐに陥落させたものの、楊安率いる軍が攻めた晋陽は守りが固く苦戦しておりました。

そこで、上党軍を平定した王猛はみずから晋陽攻略へ向かいます。

ただその前に、同時期の他の動きなどをみてみます。

 

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黄門侍郎・封孚と司徒左長史・申胤の今後の予測

さて、壺関が陥落したころ、前燕の都・鄴では黄門侍郎・封孚と司徒左長史・申胤の二人が今後の国の行く末を話していました。

この、封孚と申胤は「枋頭の戦い」のときに慕容垂のブレーンとなり的確な状況分析を行った人物たちです。

そのときも、二人でゴニョゴニョ情報分析をしていたのですが、今回も何やらゴニョゴニョ話しています。

封孚が申胤に聞きます。

「状勢はどうなりそうだ?」

申胤は嘆きながら答えます。

「鄴はまちがいなく陥落するだそうよ。我らは年内には秦の虜となるであろう。しかし(春秋時代の)越は木星のご加護を得て、呉はこの越を伐ったことで、後年災いを受けることになった。今、木星の福徳は燕にある。秦は一旦志を得ることができるだろうが、その後燕は12年もしないうちに再び建国するだろう。」

なんと、申胤はもう前燕は滅びるよとあっさり言っています。まあ、それだけ危機的状況に陥っていたのでしょう。

しかし、その後12年も立たないうちに燕が復活するとも予想しています。

事実、このあと、前秦が淝水の戦いで大敗したあと、慕容垂が後燕国を建国し、全盛期の前燕以上の領土を要するようになります。

同時期以降に、西燕、北燕、南燕という国もポロポロと建国されますが、申胤が言う燕の復活はこいつらのことではないでしょう。

ジュピター

ちなみにセリフに出てくる木星は、昔の中国では「歳星」と呼ばれておりほぼ12年で太陽を一周することからこう呼ばれていました。当時は「歳星」の位置を天文測量の大切な目印としたそうです。木星が越に福をもたらしているタイミングで呉が越を伐ったので、呉はのちに災いを受けた(越に滅ぼされた)というわけです。

ともあれ、申胤はこの滅亡の淵にある状況でも、燕が復活できることをまで分析したいたわけで、かなり先が見通せる人物だったのでしょう。

申胤は、以前前燕の社会矛盾を分析し、そのことをこんこんと慕容暐に説いた申紹の弟でもあります。

その頃、南の東晋では・・・

さて、前秦が前燕の并州を攻めているとき、南の東晋国内でも動きがあります。

「枋頭の戦い」のときに、桓温から輸送路の確保のため石門を開くことを命じられ、失敗した袁真という部将がおりました。

袁真は、「枋頭の戦い」で東晋軍が大敗したあと、その責任を桓温から押し付けられ、ブチ切れた末に東晋に対して反旗を翻しました。

寿春を本拠にして、前秦や前燕と密かに連絡を取り始めます。

寿春と広陵の位置

袁真は370年2月に没しますが、跡を息子の袁瑾が継ぎます。

桓温は東晋内で不穏な動きをする寿春の袁瑾勢力に対し、370年8月に2万の兵を率いて広陵より出陣し討伐に向かいます。

袁瑾は寿春に籠城し、桓温は寿春を包囲しました。

袁瑾は、前燕とも連絡を取り合っていましたので、前燕は左衛将軍・孟高を袁瑾の援軍に向かわせていました。

ところが、淮北まで孟高が着いた時点で、前秦の前燕攻撃が始まってしまい、孟高が淮水を渡る前に前燕を彼を召喚してしまいました。

自分のところが滅びそうなのに、他人に援軍を出している場合じゃないというわけです。

前燕からの援軍は帰ってしましましたが、袁瑾はこのあとしばらく持ちこたえます。

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