こんにちは。
歴史をテーマにしてブログを書いていますが、とくに中国史に関しての投稿が多くなっています。
まあもともと中国史が好きなので、どうしても中国史関係に偏ってしまうのですが、一応「歴史総合ブログ」を目指していますので、もう少し中国史以外の投稿も増やさないといけません。
しかし、そういう思惑に逆行して、今回は中国史をテーマにしたおすすめの漫画をいくつか紹介したいと思います。
とりあえず自分が読んだことのあるもの限定で書きます。
けっこう数があるようで、思ったより数が少なかった気がします。
時代が古い順で書きます。
春秋戦国時代
原泰久『キングダム』
言わずとしれた、最近の中国史関係の漫画の最高峰です。
戦乱の時代を終わらせるという大望を持つ秦王・政(のちの始皇帝)と、その金剛の剣として「天下の大将軍」を目指す信(のちの李信、こっちが主人公)の物語です。
もはや面白さは語り尽くされているとは思いますが、史記などの史書に実際に記されている王翦、廉頗、李牧、藺相如、蒙恬、王賁、春申君、呂不韋、李斯などの人物たちや出来事が、キングダムという作品の中で、何十倍にもかっこよく輝いて描かれているところが最大の魅力でしょう。
個人的には、「秦の国門・函谷関」の異様なほどのデカさと難攻不落さの描写が最高でした。
2021年1月の時点で、コミックスが60巻まで刊行されており、まだまだ続きますので、相当な分量になりますが、読み始めると間違いなく一気に読んでしまうでしょう。(60巻ということは、横山光輝三国志の刊行数を超えるんだなと思うと、勝手に感無量になっています。)
楚漢戦争
本宮ひろ志『赤龍王』
項羽と劉邦の楚漢戦争について最初に知ったのはこの漫画でした。サラリーマン金太郎などを描かれた本宮ひろ志先生の1980年代の作品です。
項羽、劉邦、張良、簫何、韓信、范増などの楚漢戦争の登場人物のイメージは自分の中ではこの作品でできたと言っても過言ではありません。
また戦争のシーンの大迫力かつ細かい描写もこの作品の魅力です。とくに項羽の超人的な強さは凄まじいものがありました。
けっこうエロい描写も漫画内にはあり、当時小学生の自分は、なかなか人前で堂々と読むことができなかった記憶もあります。
横山光輝『若き獅子たち 項羽と劉邦』
横山光輝先生バージョンの項羽と劉邦です。
基本これを読めば「項羽と劉邦」の物語の流れや内容はすべて抑えられます。史記に出てくるエピソードが、ほぼほぼくまなく話に入っていると思いますので、楚漢戦争の入口としては最高だと思います。
おっと、張良の顔が孔明と一緒だなんて言ってはだめだぞ。
『項羽と劉邦、あと田中』
漫画:亜希乃千紗
原作:古寺谷雉
キャラクター原案:獅子猿
古寺谷雉先生の同名の小説のコミカライズ版です。
普通の会社員・田中が楚漢戦争前夜の中国にタイムスリップし、秦に滅ぼされた斉の元王族・田横と出会うところから物語がはじまります。
このあと、秦は滅び楚漢戦争が本格的にはじまっていくという歴史の流れですが、田中はどのように絡んでいくのか、実際の歴史通りに進んでいくのかなど転移もののおもしろさがつまった作品です。
コミックスでは2021年時点で2巻までしか出ていませんが、すでに田横をはじめ、蒙恬や蒙毅などの実在の人物も出てきていますので、先がたのしみです。
三国時代
横山光輝『三国志』
私くらいの年代の人は、この漫画から歴史に興味を持ったという人も多いのではないかと思います。
小学生の頃は、教室に文庫として横山光輝三国志が置いてあった記憶があります。
三国志演義を楽しむにはまずはやはりこの漫画がよいのではないかと思います。
個人的には、「官渡の戦い」の描写がほぼなかったり、荀彧や郭嘉の存在が空気だったりしたのが悲しかったですが、それでも三国志を日本人に大いに広めた作品の一つであることは間違いありません。
私としては、長安がある関中や隴西周辺の地理の知識が増えた今だからこそ、孔明の北伐の部分を見返してみたいという気持ちが高まっています。
パリピ孔明
原作:四葉夕ト、作画:小川亮
「項羽と劉邦、あと田中」とは逆で、諸葛亮孔明が現代の渋谷に転生してくるところから物語がはじまります。
そこでシンガーを目指す月見英子と出会い、彼女の「軍師」となり天下統一(音楽シーンでの成功)を目指し奮闘する物語です。
荒唐無稽だと思われがちですが、大変おもしろい作品です。
作品中には孔明ゆかりの戦法などのネタがうまく散りばめられ、三国志ファンならウキウキしてくる内容です。
唐代
伊藤勢『天竺熱風録』
田中芳樹先生の同名小説のコミカライズ版です。
唐の太宗の時代に外交使節として天竺(インド)に赴いた文官・王玄策が当地の内乱に巻き込まれ、文官でありながら、チベット・ネパール・唐の連合軍を率いて天竺軍を打ち破るというストーリーです。
ファンタジーの要素も入れながら、天竺やその周辺の国々の様子や状況が描かれていて大変おもしろい作品です。
とくに王玄策が援軍を借りるためにネパール王と交渉するときの描写は「外交官の戦争はこれにあり」、という感じでかっこよかったです。
宋代
青木朋『天上恋歌~金の皇女と火の薬師~』
宋や金をテーマにした漫画はあまりないと思いますが、この漫画は大変おもしろく宋代の世界が詳細に美しく描かれています。(絵がほんと綺麗!!)
物語は、中国の宋代に東北で勃興してきた金の皇女(完顔阿骨打の娘)・アイラが宋の都・開封へ友好の使者として訪問するところからはじまります。その道中で刺客に襲われたときに助けてもらった花火職人の凛之に一目惚れしてしまったアイラ。凛之との身分違いの恋が成就するのかということをメインテーマとしながら、金の使節団、宋の皇族や、宋と金が仲良くなると都合が悪くなる遼の思惑も絡めながらストーリーが進んでいきます。
アイラ(かわいくて強い)や凛之(火薬・鉱物オタク)以外にも、ウジュやオリブ(超絶イケメンで軍神レベルの強さ)などの金の皇族や、宋の皇帝(徽宗)、第九皇子・康王(のちの南宋の・・)、康王の妹姫・円珠など魅力的な人物がたくさん出てきます。
早く続きが読みたいです。
モンゴル
瀬下猛『ハーン -草と鉄と羊-』
「源義経がモンゴルに渡りチンギス・ハーンになった」という話を地で行く漫画です。
昔から日本で言い伝えられた「作り話」ですが、この漫画ではその「作り話」をうまく史実に落とし込み大変おもしろい話になっています。
また、当時のモンゴル高原の勢力や求められていたもの(ヒト、モノ、カネや交易)の状況をうまく描写しており、モンゴル族キャト氏にテムジンとして迎えられた源義経が、モンゴル高原の統一を目指して国作りや勢力拡大の戦争を知恵を出しながら進めていく物語です。
ライバル・ジャムカや、ボオルチュ、ジュルメ、ジェベ、チラウンなどののちの「四駿四狗」も登場します。
残念ながら、モンゴル高原最強のトオリル・ハーンを倒してこれから、というときに連載は終わってしまいましたが、連載終了までのストーリまででも見どころ十分な漫画です。
明代
星野之宣『海帝』
明の永楽帝の時代に、大船団を率いて7度の南海遠征を行った男・鄭和を描いた漫画です。
鄭和は宦官なのですが、卓越した武力と、大船団を率いる統率力、人を引きつける魅力を併せ持った傑物です。
この漫画には南海遠征中に立ち寄る東南アジア、インド周辺の国々の様々な風景や文物も描かれておりますし、それぞれの国や航海途中での巻き起こる出来事は興奮する内容です。
また、永楽帝が帝位を「簒奪」した「靖難の変」も色濃く物語に絡んできます。
南海遠征とともに、鄭和と永楽帝の関係性も物語のメインテーマとなっており、この先も楽しみな漫画です。
ファンタジー
『薬屋のひとりごと』
原作:日向夏
作画:ねこクラゲ
構成:七緒一綺
キャラクター原案:しのとうこ
日向夏先生原作の小説のコミカライズ版です。
中国の歴史をテーマにしたと言っても、史実を元にしたのでなくファンタジー作品です。
薬草探しをしていたところ、人さらいどもに攫われて後宮に売られてしまった薬師の女の子・猫猫が、その薬の知識を武器に後宮で巻き起こる事件を解決していくという物語です。
ファンタジーですが、おそらくは唐の時代をメインのモデルとしており、建物や人物の描写がしかっり描かれており、中国史に詳しい人、詳しくない人どちらも楽しめる作品だと思います。
また、その知識と機転で様々なトラブルを解決していく猫猫の活躍は見ててスカッとするものがあります。
他にもおもしろい作品はありますが、今回はここまでにします。
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