こんにちは。
最近、読んでいる歴史漫画を書きます。
瀬下猛「ハーン -草と鉄と羊-」です。
「ハーン」の題名のとおり、世界史上最大の領域を支配する「大モンゴル国(イエケ・モンゴル・ウルス)」を作り上げたチンギス・ハーンの物語です。
しかも、日本に昔から語り継がれる「源義経がモンゴルに渡ってチンギス・ハーンになった」を地で行くストーリーです。
「源義経がモンゴルに渡ってチンギス・ハーンになった」は、もちろん史実としては否定されている話ですが、その話をあえて、今の時代に漫画にしたところが興味をそそってきます。
チンギス・ハーンと源義経
チンギス・ハーンと源義経は、だいたい同世代の人物です。
略年表的に書くと、
チンギス・ハーン
1162年 テムジン(チンギス・ハーン)誕生(諸説あり)
1196年 「ウルジャ河の戦い」でタタルを破る
1206年 チンギス、オノン河畔で即位、
大モンゴル国(モンゴル帝国)成立
源義経
1159年 源義経、誕生
1180年 源頼朝挙兵→黄瀬川で頼朝と義経が対面
1184年 一の谷の合戦
1185年 壇ノ浦の合戦
1189年 藤原泰衡、高館に義経を襲う
1192年 「いい国つくろう鎌倉幕府」
になります。
だいたい義経が日本で活躍し終わり、平泉で藤原泰衡に襲われ死んだと言われているあとくらいから、チンギス・ハーンの活躍が始まることと、また卓越した軍才を持っていた源義経が平家が滅びるとともに邪魔者扱いされ滅ぼされたということに同情した人々がおそらく多くいたことから、「源義経がモンゴルに渡ってチンギス・ハーンになった」という話が出来上がったのでしょう。
この話は、もちろん学術的にはフルボッコにされて否定されていますが、漫画としてはおもしろいと思っています。
KOEIのゲームの「蒼き狼と白き牝鹿」シリーズは世界編というシナリオがあり、そこで源義経が配下にいる源頼朝の日本国がチンギス・ハーンのモンゴル国と戦うということが実現できるのですが、そのときのことを思い出させてくれ、また「蒼き狼と白き牝鹿」やりたいなと思ってしまいます。
ストーリー
話の流れとしては、平泉で襲われた義経が脱出に成功しており、追手に追われながらも、蝦夷(北海道)から海を渡り、当時中国の華北エリアを支配していた「金」の領土にたどり着き、「金」経由でモンゴル高原に入っていき、テムジンとなる流れです。
蝦夷→金→モンゴルに入るまでもいろいろな話があり、テムジンとなったあとも、史実に沿いながらも源義経としての「特性」を活かしつつ高原統一に向けて進んでいきます。
鉄、交易、人材
この「ハーン -草と鉄と羊-」は、テムジン(のちのチンギス・ハーン)になった源義経がモンゴル高原統一を目指していく戦いが描かれていますが、ただ戦が描かれるというだけでなく、当時、重要なポイントであった鉄の獲得と交易が国造りの過程で描かれています。
交易については、中国もそうですし、逆の方向の中央アジア、ヨーロッパまで地続きであるモンゴル高原であるから交易を行い国力を上げていく「グローバル」な視点はのちに世界帝国を実現させるためには重要な能力だったのでしょう。その思考が漫画にもきちんと描かれており、このようなところもこの漫画がおもしろいと思った部分です。
さきほどの「蒼き狼と白き牝鹿」にもこの交易の要素がしっかりと入っており、35年前のゲームにそのことを落とし込んでいるKOEIもさすがです。
人材に関しても、自分たちの一族、配下、敵、交易商人たちが特徴ある人物として描かれています。
チンギス・ハーンと四駿四狗
この漫画でのチンギス・ハーン(テムジン)=源義経は、私達がイメージするとおりイケメンです。(大河ドラマのタッキーのイメージもあるか)
そして、1人の武将としてもめちゃくちゃ強いです。さらに、戦術的、戦略的にも他と違う視点を持っております。とは言え、心にはいろいろな葛藤もあり、そういったところを含め大変魅力的な人物として描かれています。
そのチンギス・ハーンの側近として有名なのが、「四駿四狗」と呼ばれる8人の人物です。
チンギス・ハーンのモンゴル高原統一、その後の中央アジア遠征などで活躍する人物たちです。
いまのところ(2019年7月現在)、四駿ではボオルチュ、チラウン。四狗ではジュベ、ジュルメ。と半分しか登場していませんが、こののち四駿四狗がどのように絡んでくるかも大変興味深いのです。
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